はじめに
もうすぐ技術書典15、技書博9が開催されますね! 今回は久しぶりに紙の新刊を持ってオフライン参加する予定なのですが、 諸事情によりイラストレーターさんに表紙を依頼できなかったので自分で作成することになりました。
調べてみてもなかなか入稿可能な表紙の作り方について紹介している記事がなかったり、 あってもファイル形式が違ったりで、「これだ!」と思える内容が見つからなかったので、 今回私が試して実際に入稿できた方法を紹介します。
技術書典15、技書博9ともにもうすぐ入稿〆切かと思いますが、 表紙の作成について悩んでいる人の一助になれば幸いです。
前提
今回作成する表紙はpngとなります。 そのため、pngでの入稿を受け付けている印刷所さんでのみ適用できる方法です。 パッと調べた限りpngで表紙が入稿できるのはねこのしっぽさんくらいだったので、 他に当てがなければ、ねこのしっぽさんをオススメします。 もちろん他の印刷所さんでもpngで受け入れてくれるのなら大丈夫でしょう。
なお、ねこのしっぽさんはCanvaでの原稿制作について次のように紹介されています。ですが、表紙作成の記事ではないですし、ちょっと古いので参考程度にしかならないでしょう。
また、本作業はMacで行いました。 Windowsでも可能かとは思いますが、検証していません。
手順
次のような流れで表紙を作成します。
- 本のサイズとページ数から表紙データのサイズを決める
- Canvaで表紙を作成してpngファイルとしてダウンロードする
- 解像度を調整する
本のサイズとページ数から表紙データのサイズを決める
まず制作する本のサイズから表紙のサイズ(mm)を求めます。
A5の場合、横は表紙148+裏表紙148+両端断ち切り6=302mm、縦は210+上下断ち切り6=216mmです。
B5の場合、横は表紙210+裏表紙210+両端断ち切り6=426mm、縦は297+上下断ち切り6=303mmです。
他のサイズはググれば出てくるので調べてみましょう。
今回はA5の表紙を作るので横302mm、縦216mmをベースに背幅を加えていきます。 背幅については印刷所さんのHPで計算できる場合があるので、そちらを利用して計算すると良いでしょう。 今回はねこのしっぽさんなので、以下のURLから計算します。
https://www.shippo.co.jp/neko/making/digital.shtml#4c
本文48ページに表紙裏表紙を加えた52ページで計算すると3.3±0.2mmと出ました。 なので念の為最大の3.5mmとし、これを横に加えて302+3.5=305.5mmとします。 縦は背幅は関係ないのでそのまま216mmとします。
これで表紙データのサイズが決まりました。
Canvaで表紙を作成してpngファイルとしてダウンロードする
Canvaはブラウザで利用可能で、商用利用も可能なオンライングラフィックツールです。 名刺やポスターをデザインしたり、作成したデザインのTシャツ販売も可能です。 同人誌の表紙についても言及されているページもあり、使用に問題はなさそうです。
今回はこのCanvaを利用して表紙データを作成していきます。
Canvaの利用開始
Canvaのサイトにアクセスするとまずユーザー登録を促されます。Canvaには以下のURLからアクセス可能です。
私はGoogleアカウントで登録しましたが、好きな方法で登録すれば大丈夫です。登録できたら、利用目的を選びますが個人で大丈夫でしょう。後で変更も可能です。
ホーム画面まで来たら右上のデザインを作成を選んで、カスタムサイズを選びます。今回はさきほど求めたサイズ横305.5mm、縦216mmとします。単位はmmに変更しましょう。これで新しいデザインを作成をクリックします。
表紙のデザイン
あとはお好きに表紙をデザインします。
ここで気をつけるポイントは上下左右ギリギリに配置しないことです。断ち切りとして3mmずつ設定しているので、ギリギリに文字や画像を配置すると見切れてしまいます。少し余裕を持って配置しましょう。
もう一点、私がやらかした点としては、表紙と裏表紙が左右逆になっていました。左綴じの本の場合、右側が表紙、左側が裏表紙になります。これを左が表紙、右が裏表紙にしてしまったため、再入稿となってしまいました。気をつけましょう。
ダウンロード
デザインが完成したらpng形式でダウンロードします。無料版だと詳細設定できず、決められた設定でしかダウンロードできませんが、問題ありません。
そのままダウンロードしましょう。記事を書いている時点では共有メニューからダウンロードできます。
解像度を調整する
ダウンロードしたpngファイルをMacのプレビューで開き、メニューのツールからサイズ調整を選びます。
すると画像のように解像度が低いので350に変更して保存します。ファイルサイズが大きくなりますが、入稿上では問題ありません。また、サイズが微妙に変わっていますが、これも問題ないようでした。これで入稿できるファイルになりました!
この手順で作成したファイルで実際にねこのしっぽさんに入稿しましたが、問題なく受領されました。
実際に印刷された表紙(追記)
技術書典15のオフライン会場で実際に印刷された表紙を見ましたが、今までのpsd納品の表紙と遜色ないくらい綺麗でした! 若干暗いかなとも思いますが、元画像の青の濃さな気もするので気にならないです。 画像だと分かりづらいかもですが、見比べてみてください!
png入稿した新刊
psd入稿した既刊
なお、背景の青空の画像はjpgをpng変換してるので、なおさら綺麗に印刷されてると感心しました!
さいごに
この記事を書いている時点では実際に出来上がった本を見ていないので、pngで入稿した本とpsdで入稿した本でどう違いがでるのか、まだわかりません。技術書典15当日に出来上がった本を見てこんな感じだった、というのを追記したいと思います。
この記事が表紙作成に悩む人の役に立つと幸いです。
なお、技術書典15はサークルaozora Projectで「さ20」でCompose Multiplatformでデスクトップアプリを作る本を出します!
技書博9にも紙の本を持っていくので、ぜひ会場でお会いしましょう〜!